2026年5月5日。
無事に退院し、自宅療養に入りました。
仕事復帰は、退院から約2週間後を予定していました。
その理由は、手術前の段階では、術中の判断によって食道を全部取る可能性もあり、その場合は入院期間がさらに1週間以上延びる可能性があったからです。
また、術後に合併症が起きれば、入院はもっと長くなる可能性もありました。
結果的には、運よく最短に近い形で退院することができました。
そのため、自宅療養の期間は、当初の想定よりも長めに確保できることになりました。
手術を受ける前、主治医の先生に、
「仕事復帰はどのくらいでできますか?」
と聞いたことがあります。
そのとき先生からは、
「人によっては、退院の翌日から出勤する人もいます」
と言われました。
そのときは、正直、
「本当に?」
と思いました。
実際に自分が経験してみた感覚で言うと、無理をすればできないこともない、という印象です。
手術した場所が完全に落ち着いているわけではありませんが、歩くことはできます。
強い痛みも、じっとしていればそこまでありません。
電車通勤も、方法を工夫すれば不可能ではないと思いました。
ただ、問題はそこではありませんでした。
食事はまだ満足に食べられません。
そして何より、体力が驚くほど落ちていました。
私は以前、ウルトラマラソンを走っていたこともあり、脚の筋肉にはそれなりに自信がありました。
それなのに、退院後の自分の脚を見ると、明らかに細くなっていました。
お尻の張りもなくなっていて、自分のお尻なのに、
「なんだか女性のお尻みたいに柔らかいな」
と思うくらいでした。
入院を経験したことがある人なら分かるかもしれませんが、入院生活では想像以上に体力が落ちます。
本当に、びっくりするくらい落ちます。
私はそれを実感して、退院の翌日から、朝に散歩をするようにしました。
距離は、だいたい10kmくらいです。
もちろん、まだ手術した場所は引っ張られるような痛みがあり、走ることはできません。
でも、歩くことならできる。
そう思って、毎日歩きました。
その結果、仕事復帰する頃にはかなり日焼けしていました。
本当に入院していたのかと疑われるのではないかと思うくらい、外を歩いて体力回復に取り組みました。
ただ、体力が少し戻ってきた一方で、食事にはかなり苦労しました。
自分の胃がどれくらい小さくなっているのか、感覚的にまだよく分かりません。
どのくらい食べると苦しくなるのか。
どのタイミングでやめればよいのか。
どんな食べ方なら楽なのか。
その感覚がつかめないまま過ごしていたので、たまに猛烈にお腹が張って苦しくなることがありました。
食事については、このあとも長く苦労することになります。
体重は、退院後に少しずつ減っていきました。
食事量をうまくコントロールできなかったこと。
散歩で運動量が増えたこと。
そして、入院中の点滴などでむくんでいた体が、少しずつ戻っていったこと。
そうしたことが重なったのだと思います。
仕事復帰の日までに、体重は4kgくらい減ったと思います。
ただ、この時期の私は、体重が減ることよりも、どうやって体力を戻すかの方がずっと大事でした。
それくらい、体力の低下が大きかったのです。
そして、2026年5月18日。
いよいよ仕事復帰の日を迎えました。
通勤については、座って移動できるように通勤方法を変えることにしました。
電車に乗りながら、
「もし満員電車でお腹を強く押されたら、手術した場所がまた開いてしまうのではないか」
そんな不安がありました。
座って通勤できるようにしたものの、各駅停車で長く座っていると、今度はお尻と腰が痛くなりました。
これも、おそらく筋力が落ちていた影響だと思います。
そして、久しぶりの出勤。
仕事に戻れたこと自体は、もちろん大きな一歩でした。
でも、体力も集中力も、一日もちませんでした。
以前と同じように働いているつもりでも、明らかにパフォーマンスは落ちています。
それを周りにできるだけ気づかれないように、うまくごまかしながら仕事をしているような感覚でした。
体は戻ってきている。
でも、まだ元どおりではない。
退院して家に帰れたからといって、すぐに日常生活に戻れるわけではありませんでした。
仕事に復帰してからも、体力、食事、集中力との付き合い方を少しずつ探っていく日々が続きました。
そして、2026年5月20日。
退院後初めての通院診察を受けることになります。
この診察で、手術で取った部分の詳しい検査結果を聞き、今後の治療方針を確認することになっていました。
手術は終わった。
退院もできた。
仕事にも戻った。
でも、本当にこれで治療が一段落するのか。
その答えを聞く日が、近づいていました。

