病気の告知:人間ドックの生検結果を聞いた日

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人間ドックの胃カメラで生検を受けてから、結果を聞くまでの約2週間。
気持ちのどこかでは、

「きっと良性の何かだろう」
「たぶん大丈夫だろう」

と思っていました。

ただ、その一方で、ふとした瞬間に、

「もし悪い病気だったらどうしよう」

という不安が頭をよぎる日々でもありました。

仕事をしていても、急に心ここにあらずになることがありました。
それでも、これまで比較的健康と体力には自信を持って生きてきたこともあり、心のどこかに「自分は大丈夫」という過信のようなものがあったのだと思います。
その過信があったからこそ、何とか精神状態を保てていたのかもしれません。

そんな状態のまま、結果を聞く日、2026年3月11日を迎えました。

その日は仕事の予定が入っていましたが、人間ドックのときに医師から「大至急」と言われていたため、仕事の予定をキャンセルし、休みを取って病院へ向かいました。
自宅から車で約1時間の病院です。

病院へ向かう道中、私はまだどこか楽観的でした。

「もし生検の結果が何でもなかったら、帰りにあの人気のうどん屋に寄れるかもしれない」
「平日なら、普段なかなか行けない店にも入れるかもしれない」

そんなことを考えながら車を走らせていました。

今思えば、その時点ではまだ、現実をそこまで重く受け止めていなかったのだと思います。

予約時間は11時。
病院には10時30分頃に到着しました。

診察室の前で待っていると、まだその診察室では診察が始まっていない様子でした。
この待ち時間は、さすがに落ち着きませんでした。

スマートフォンを見る気にもなれず、ただ深呼吸をしながら、時間が過ぎるのを待っていました。

11時を少し過ぎた頃、私の前の人が診察室に呼ばれました。
次は自分だと思うと、緊張が少しずつ強くなっていきます。

しばらくして、前の人の診察が終わり、次に私の名前が呼ばれました。

診察室に入ると、医師がデスクの向こうに座っていました。
デスクにはモニターがあり、そこに生検結果らしき画面が表示されていました。

画面には英語なのか、ドイツ語なのか、専門用語が並んでいて、私には何が書いてあるのか分かりませんでした。

医師は、その一部を指さしながら、静かに説明を始めました。

生検の結果は、

バレット食道癌(食道胃接合部癌)

とのことでした。

そして、胃カメラの写真を見ながら、医師は続けてこう言いました。

「うーん、これは内視鏡ではなく、手術になるかもしれません」

その言葉を聞いた瞬間、自分の中で何かが止まったような感覚がありました。

大きな衝撃を受けたはずなのに、不思議とその場では取り乱すこともなく、強い感情が一気にあふれてくることもありませんでした。
たぶん、人間の本能として、心の防御機能が自動的に働いたのだと思います。

心に痛み止めを打たれて、衝撃だけが少し鈍くなったような感覚でした。

ただ、医師に、

「それでは、今後はどうすればいいですか?」

と尋ねたことは覚えています。

モニターの生検結果の下には、医師のコメントも記載されていました。
そこには、埼玉県立のがんセンターか、都内の国立がん研究センターか、順天堂大学病院を紹介して治療を進めることをおすすめする、という内容が書かれていました。

医師からは、

「どちらの病院にするか、ご家族と相談して決めてください。決まった病院宛てに紹介状を書きます」

と言われました。

ただ、都内の病院に通院するとなると、毎回1時間以上の電車通院が必要になります。
治療が長くなる可能性も考えると、身体的にも精神的にも負担が大きいと感じました。

そこで私は、

「住んでいる地元の大学病院で治療を受けることはできないのでしょうか」

と尋ねました。

医師からは、

「あまり多い種類の癌ではないので、対応できない可能性があります」

と言われました。

それでも私は、念のため地元の大学病院で対応できないか確認してもらえないかお願いしました。
その結果については、数日以内に連絡をもらえることになりました。

診察が終わり、病院を出ました。

帰り道は、行きとはまったく違う気持ちでした。
現実として受け止めきれていない自分がいる一方で、

「家族にどう話せばいいのか」
「仕事はどうすればいいのか」
「治療はどこで受けることになるのか」
「手術になるとしたら、どれくらい生活が変わるのか」

いろいろなことが、頭の中をぐるぐる回っていました。

家に帰り、妻に癌と診断されたことを伝えました。

妻は大きく取り乱すこともなく、思っていたよりも淡々と現実を受け止めてくれました。
その落ち着いた反応に、私自身も少し救われたような気がします。

その後、病院から連絡がありました。

地元の大学病院でも診てもらえることになったとのことでした。
私は紹介状の準備と、1週間後の大学病院での診察予約をお願いしました。

こうして、人間ドックで見つかった小さな膨らみは、私にとって本格的な治療へ進む入口になりました。

この日から、検査、病院選び、治療方針、仕事との調整など、現実が一気に動き始めることになります。

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