大学病院初診日:少し霧が晴れた日

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病気の告知を受けてから、大学病院の初診までの1週間は、とても長く感じました。

不安で早く診てもらいたい気持ちがある一方で、心のどこかでは、
「このまま時間が止まってくれたらいいのに」
と思う自分もいました。

診察を受ければ、現実がさらに進んでしまう。
でも、診察を受けなければ何も分からない。

そんな落ち着かない気持ちのまま、大学病院の初診日を迎えました。

地元にある大学病院には、家族の診察の付き添いで行ったことはありました。
ただ、自分自身の病気の治療で行くのは初めてです。

予約票には、8時30分までに連携外来受付へ来るようにと書かれていました。

「少し早く行けば、早めに受付してもらえるかもしれない」

そんな淡い期待、というより少し下心もあり、8時頃に病院に着きました。

ちょうど8時から病院が開くようで、入口にはすでにたくさんの人が並んでいました。
その流れに乗って、私も病院の中へ入りました。

紹介状を持っている人が受付をする連携外来に向かうと、まだ受付が始まる様子はありません。
結局、受付が始まったのは8時30分ちょうど。

早く行った下心は見事に外れ、ただ少し長く立って待つだけの時間になりました。

8時30分になり、受付を済ませます。
初診なので診察券を発行してもらうのですが、私の名前の読み仮名が少し間違っていたため、再作成をお願いしました。

そこで少し手間取りつつ、診察券を受け取り、消化器内科へ向かいました。

消化器内科に行ってみると、そこにもまた長い列ができていました。
その列に並んで受付を済ませます。

さすが大学病院。
予約制とはいえ、かなり待ちそうな雰囲気です。

気持ちが落ち着かないまま、待合室で待ち続けました。

精神的に落ち着いていなかったせいか、
「トイレに行っている間に呼ばれたらどうしよう」
などと考えてしまい、トイレに行くことさえ少し不安になるほどでした。

待ち時間が長くなることを想定して、本も持ってきていました。
でも、とても読む気にはなれませんでした。

そして2時間以上待った、11時30分頃。
ようやく私の番号が呼ばれ、診察室に入りました。

診察室には先生が座っていて、横にはモニターが2台ありました。

そのうちの1台には、おそらく人間ドックを受けた病院からの紹介状に入っていた画像データと思われる、内視鏡の写真が表示されていました。

先生は、その画像を何枚か何度も確認しながら、私に尋ねました。

「病名は聞いていますか?」

私は、

「バレット食道癌と聞いています」

と答えました。

すると先生は、画像を見ながら説明してくれました。

「聞いているようであればお話ししますが、私がこの内視鏡の写真を見た感じでは、まだ早期の癌だと思います」
「今なら、内視鏡で手術できるかもしれません」

その言葉を聞いたとき、少しだけ呼吸がしやすくなった気がしました。

ただ、先生は続けてこう説明しました。

「ただし、これは表面から見た診断なので、癌の深さまでは分かりません」
「内視鏡で切除した細胞を詳しく調べた結果、追加で手術が必要になる場合もあります」

安心しきれるわけではありません。
それでも、告知を受けてからずっと頭の中にかかっていた霧が、少しだけ薄くなったように感じました。

先生はさらに、今後の予定を一気に組んでくれました。

「いずれにしても、取らないといけないものです」
「4月6日月曜日の午前中に入院してもらって、午後に手術。入院期間は1週間で、仮に予約しておきます」
「今日の午後に、血液検査、心電図、CTを受けてください」
「来週、3月23日に、当院でも内視鏡で確認しますので、その予約も入れておきます」

今まで、何をどうしたらいいのか分からない日々を過ごしていた私にとって、この予定の組み方はとてもありがたいものでした。

大学病院というと、検査ひとつ受けるにも予約や手続きで時間がかかる印象がありました。
でも、この日は違いました。

先生が、治療に向けて必要な予定を一気に組み上げてくれたことで、止まっていた時間が少し動き出したような気がしました。

診察が終わったあとは、午後の検査です。

病院内を、まるでロールプレイングゲームのように回りました。
血液検査室で採血をして、心電図を受け、CTも緊急で予約を取ってもらい、その日のうちに受けることができました。

ただ、検査のために着替えた検査着が、少し小さかったのです。

いや、少しどころではなかったかもしれません。

サイズが合っていない検査着を下着の上に着たまま、下着が見えないようにムチムチの脚を気にしながら病院内を移動することになり、思わぬところで妙な羞恥心とも戦うことになりました。

病気の不安で頭がいっぱいだったはずなのに、
「この格好で院内を歩くのか……」
という、まったく別方向のダメージもありました。

それでも、この日の診察で、治療が少し前に進んだことは確かでした。

告知を受けてからの1週間、分からないことばかりで不安だけが膨らんでいました。
でも、大学病院の初診で、先生から「早期だと思う」「内視鏡で手術できるかもしれない」と聞き、具体的な検査と入院、手術の予定まで決まりました。

もちろん、不安が消えたわけではありません。
追加手術の可能性もある。
本当に内視鏡で済むのかも、まだ分からない。

それでも、何も分からずに立ち止まっていた状態から、治療に向けて一歩進めたことは、私にとって大きな救いでした。

次は、大学病院で改めて受ける内視鏡検査です。
そこで、さらに詳しい状態を確認することになります。

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