大学病院の初診で治療スケジュールが決まり、これまで目の前の道が霧で覆われていたような状態から、少しだけ明るい光と足元の道が見えたような気がしました。
癌の告知を受けてから、私は食事にかなり気を付けるようになっていました。
その影響もあってか、人間ドックの日から体重が3kgほど落ちていました。
それまでの私は、
「空気を吸っているだけでも太るのではないか」
と思うくらい、なかなか体重が落ちないタイプだと思っていました。
それなのに、食事に気を付けるだけでこんなに体重が落ちるのかと、少し驚きました。
そして、2026年3月23日。
この日は、大学病院で改めて内視鏡検査を受け、今後の治療スケジュールを本確定する日でした。
朝9時に消化器内科へ行き、その後、内視鏡センターへ移動しました。
この日の検査で、もし状態が悪く、内視鏡では対応できないと判断されたら。
もし治療スケジュールが見直され、外科手術になると言われたら。
そんなことを考えると、待っている間も緊張で心拍数が上がっていくのが分かりました。
内視鏡センターの待合室で待っていると、看護師の方に名前を呼ばれました。
まず、お腹をきれいにする液体を飲み、そのあと喉の麻酔をすることになりました。
「5分間、飲み込まずに喉の奥で止めておいて、その後に吐き出してください」
そう説明されました。
私はこれまで、胃カメラは鼻からしか受けたことがありませんでした。
ただ、この日はさすがに口からだろうなと覚悟していました。
喉の麻酔が効いてきた頃、内視鏡室に呼ばれました。
内視鏡室には、初診のときに対応してくれた消化器内科の先生がいました。
私がかなり緊張している様子を感じたのか、先生も看護師の方も、とても丁寧に接してくれました。
検査台の上に横になり、準備が進められていきます。
そして、検査が始まりました。
正直に言うと、覚悟はしていましたが、口からの内視鏡検査はかなりきつかったです。
この内視鏡検査では、癌の場所と、その周辺の細胞も再度、生検で採取されました。
検査中に先生から詳しい説明はありませんでした。
検査後に、
「説明はこの後の外来で行います。たぶん11時30分までには呼べると思います」
と言われました。
内視鏡検査が終わったあとは、消化器内科の外来で診察を待つことになりました。
待ち時間は1時間ほどだったと思います。
その間も、頭の中は治療方針のことでいっぱいでした。
「どうか予定どおり内視鏡で進められますように」
「手術に変更と言われませんように」
そんなことを、祈るような気持ちで待っていました。
そして、消化器内科で診察の順番が来ました。
診察室に入ると、先ほど内視鏡検査をしてくれた先生が待っていてくれました。
先生はまず、
「先ほどはお疲れさまでした」
と声をかけてくれました。
そして、検査結果について説明が始まりました。
「内視鏡で見た限りでは、早期癌だと思います」
「先週受けてもらったCTでも転移は見つかりませんでした」
「予定どおり、内視鏡で切除しましょう」
その言葉を聞いて、少しだけ肩の力が抜けました。
ただ、先生の説明はそこで終わりではありませんでした。
「ただし、内視鏡では癌の深さまでは分かりません」
「癌の部分が横に広いのでもしかしたら、切除後に狭窄という食べ物が詰まることもあります、そのときは広げるためのバルーン治療が必要になります」
「切除した部分を詳しく検査して、取り切れていない場合や、深さが想定より深かった場合には、追加で手術が必要になることがあります」
やはり、すべてがこの内視鏡手術だけで終わると決まったわけではありませんでした。
私は先生に、
「追加で手術が必要になった場合は、どのようなスケジュールになりますか?」
と尋ねました。
先生からは、
「その場合は、担当が外科に変わります」
「この病院では院内紹介状を書いて、外科で改めて治療スケジュールを決めてもらうことになります」
と説明されました。
この説明で、追加手術になったら、手術、療養で仕事の有給休暇の足りるだろうか?療養休暇の申請が必要だろうか?等頭に浮かびました。
まずは予定どおり、4月6日月曜日の午前中に入院。
その日の午後に内視鏡で手術。
入院期間は1週間の予定。
この流れで進めることになりました。
先生からは、
「今日は入院手続きをして帰ってください」
と言われ、診察は終了しました。
その後、入院手続きを行い、続いて看護師の方から入院前の説明を受けました。
必要な持ち物や、入院当日の流れ、手術前後の注意点などを聞き、その日は帰宅することになりました。
とりあえず、予定どおり内視鏡で治療が進むことには安堵しました。
ただ、その一方で、
「これで治療が終わらない可能性もある」
という不安は、やはり残っていました。
早期癌だと思う。
内視鏡で切除できるかもしれない。
でも、切除して詳しく調べるまでは、本当のところは分からない。
安心と不安が混ざったまま、私は入院の日を迎えることになります。
ただ、まさか内視鏡手術があんなことになるとは、このときの私はまだ考えてもいませんでした。
