内視鏡手術で治療をするはずが、何も処置をせず、1日で退院することになりました。
その翌日、無理矢理予約を入れてもらって、外科の外来を初めて受診することになります。
ここから、またスタート地点に戻ったような感覚でした。
「それなら、最初から外科で治療を進めていたら…もっと早く…」
そんな、考えても仕方のない“たられば”が、何度も頭に浮かびました。
最近の私は、何か不安なことがあると、ChatGPTにできるだけ正確に答えてもらうために、熟考モードでいろいろ聞くことが習慣になっていました。
外科の外来ではどんなことを言われそうか。
どんな手術の可能性があるのか。
先生に何を確認しておいた方がよいのか。
事前に少しでも頭に入れて、外科の診察に向かいました。
外科の外来は、11時の予約でした。
病院には10時30分頃に到着しました。
待合室で座っていても落ち着かず、深呼吸をしながら順番を待っていました。
そして11時15分頃、私の番号が呼ばれました。
診察室に入ると、先生が座っていました。
横のデスクにはモニターが3台ほど並んでいて、そこには消化器内科で受けた内視鏡検査の画像が表示されていました。
先生は画像を確認しながら、診察を始めました。
「消化器内科の先生から話は聞いています」
「予想よりも広がっていそうなので、内視鏡手術は中断したとのことでしたね」
その言葉を聞いて、やはりそうなのかと思いました。
先生は紙に胃と食道の絵を描きながら、説明を始めました。
描かれたのは、食道と胃のつながりの図でした。
その中で、癌の位置を示しながら説明してくれました。
バレット食道癌、つまり食道胃接合部癌は、食道と胃のつなぎ目付近にできる癌です。
その位置や広がりによって、手術の方法が変わるとのことでした。
先生からは、大きく2つの手術の可能性があると説明されました。
ひとつは、食道の下部と胃の上部を切除する手術。
もうひとつは、食道をすべて取り、胃を食道の代わりとして持ち上げる手術。
この手術方法については、事前に調べていたので、言葉としては知っていました。
他の方のブログでも読んでいましたし、ChatGPTにも聞いていました。
だから、まったく知らない話ではありませんでした。
それでも、内視鏡で切除できると言われていたところから、いきなり「食道を全部取る可能性がある」という話になると、理屈では分かっても、気持ちはまったく追いつきませんでした。
しかも、ブログでこの手術をした人の話を読むと、食事で苦労してる人の割合が多くて不安はいっぱいでした。
私は先生に尋ねました。
「入院期間はどのくらいになりますか?」
「仕事復帰までは、どのくらいかかりますか?」
先生からは、食道の下部と胃の上部を切除する手術の場合、入院期間は1週間ほど。
食道をすべて取る手術の場合は、2週間ほどと説明されました。
もちろん、術後に合併症などが起きなかった場合の目安です。
続いて、仕事復帰について聞くと、先生はこう言いました。
「人によっては、退院の翌日から仕事に復帰する人もいます」
正直、これはかなり驚きました。
「電車通勤でも可能ですか?」
そう尋ねると、先生からは「可能です」と返ってきました。
私は少し戸惑いました。
他の方のブログを読むと、退院後もしばらく療養して、仕事復帰まで数か月かかっている方も多くいました。
そのため、本当にそんなに早く仕事に戻れるのだろうかという不安がありました。
先生からは、仕事復帰で一番苦労するのは、食事が大きく変わることだと思います、と説明されました。
ただ、今になって思えば、このときの私は、その大変さを本当の意味では理解できていなかったと思います。
私は内視鏡手術が中止になった直後でした。
一日でも早く治療を進めてほしいという気持ちでいっぱいでした。
そこで先生に、
「手術はいつ頃になりますか?」
「できるだけ早くお願いしたいです」
と伝えました。
先生からは、今後の検査次第ではあるものの、食道の下部と胃の上部を切除する手術で済む場合は、4月中にできるかもしれない。
ただし、食道をすべて取る手術になる場合は、5月のゴールデンウィーク明けになるかもしれない、と説明されました。
私は、少しでも早く手術を受けたかったのです。
もともと内視鏡手術で1週間入院する予定だったため、仕事の調整もある程度していました。
そのため、
「明日からでも必要な検査を全部入れて、できるだけ早く手術の日程を決めてください」
とお願いしました。
先生からは、待ち時間が長くなるかもしれませんと言われましたが、診察の翌日から、木曜、金曜、土曜と検査の予定を入れてくれました。
少しでも遅れた分を取り戻したい。
一日でも早く治療を前に進めたい。
その気持ちだけでした。
こうして、翌日から検査のために毎日病院へ通う日々が始まりました。
ただ、この検査の日々も、思っていたよりずっと大変なものでした。
そして私はこのあと、自分の体が本当に大きな手術へ向かっていくのだという現実を、少しずつ突きつけられていくことになります。

